酒ものまずに、食事を終えて部屋に戻ると布団がひいてあった。
毛布と薄い掛け布団。どうみてもこれじゃァ寒いだろう。仕方がないのでセーターの上にトレーナーを着込んでそのまま布団にはいる。釣り客の盛り上がる宴会の音に耳を塞ぎながら寝る。宿賃7000円。今まで経験した最低の宿だ、たぶん。救いは魚が美味しかったこと。ただし私はあまり刺身を好んで食べたいと思わない方(鯛は焼いた方が絶対旨いと思う)、好きな人にはたまらんだろな。
12月30日午前7時
朝食、さんま丸干し。「さんまの丸干しはこのへんの名物です。北で採れる脂ののったさんまは美味しくないけど、このさんまは美味しいですよ」。確かにさんまとは思えない小降りで細身。脂がのって旨いといったり、旨くないと言ったり、魚は難しい。味は確かにさんまだ、ただそれだけ、私には分かりません。「このさんまの丸干しを食べたくてわざわざ毎年来るお客さんが沢山いるんですよ。」とうぜん例の奥さん。
釣り客とダンナはとっくに起きて沖へ出ている。まあ話半分に聞いておこう。
今日もいい天気。またくねくねとまがった細い311号。
これも昨夜聞いた話の一つだが、このへんは桜の原生林があると。普通は道路の両脇に桜を植えて桜並木を造るのだが、昔の人が桜の森に切ると勿体無いのて大木を避けて道路を造ったらしく必要以上にくねくねしている。たしかに見るとまわりは桜の木。今はもちろんその当時の大木がないのでくねくねの理由がない状態になっている、それにしても桜の木で埋め尽くされているので咲いたらみごとだ。ときどき桜の森から見える熊野灘の入り江部分の穏やかな光る海。桜の季節に来てみたい。

一旦42号に戻り、260号へ。いよいよ伊勢志摩。
ところが260号で行くと地図上で道が切れている。どうゆうことか気になり調べてみようと行く。ちょっと手前で綺麗な景色のところに出たので車を空き地に寄せ写真を撮ろうとした。入ってから気がついたが、警察官が違反車を隠れて見張っているところだった。ちょっとお互いに吃驚した。ちょうどいいので地図を見せながら「ここは行き止まりですか?」と聞くと「ああ車はだめだね船だから。」どうも渡し船だったようで、県道の17号へ。
そこで、この先の志摩町へ行くかどうか悩む。なぜなら同じ道を戻ってこなくてはいけないので・・・
でも先の方がループ状になっているので行くことにした。が、結局先端でループの一部が通行止め。同じ道を戻ることに。まあ後で後悔するよりはマシ。
それにしてもここの道路は国道の中でも一番細いかも知れない。坂の両側に家がありほとんどの家がコンクリートの塀。(白く塗ればニコノス島のようになるのに)塀と塀のところで止まるとたぶんドアは開かない状態。そしてクランクの連続。途中ちょっと広くなったところで行き違った軽トラのおっさんが、あきれ顔で笑っていた。竜飛岬の「階段の国道」に次ぐ難?道路。

260号に戻る。さらにここで大きな問題が、国道より海側の有料道路「志摩パールロード」が出現。ポリシーとして有料道路は走らないことになっているがこの場合県道も繋がっていない可能性がある。そして目的は海岸線。「これはしかたないでしょう」と勝手に納得させ、パールロードへ。これがまた、すばらしい。ここも何度も何度も車を止めてシャッターきった。
おわりのころに鳥羽一郎兄弟の歌碑を発見。



志摩