12月30日午後4時50分二見が浦に着く。
日の出の写真で有名なあのしめ縄がはられている夫婦岩があるところ。
まあ俗だが撮ってみようじゃないのと思ったのと、これから先23号が内陸へどんどん入ってしまい、名古屋まで海岸線にでてもたぶん工場地帯なので面白みがない道路がつづく。区切りをつける意味でここに泊まることにする。前夜が余りにも悲惨だったので、今回は旅館に泊まってみようかと電話するる。「お一人様ですか・・・、当館は団体様でお受けしてますので」と断られる。一見の独り客は断られる、ラブホテルがわりにする若者カップルよりましだと思うのだが・・・。民宿に電話するとすぐあった。昨日の思いがあるので今日は大丈夫かと不安になったが、夫婦岩のすぐ近くということで決める。
行ってみると・・・・・。不安適中。周りの旅館は立派だがその辺に唯一あったその民宿は安普請の2階建て。客はたぶん私一人、部屋はやはり6帖。コインのTVとまたもやコインのエアコン。ただし、「コインの鍵はずしてあります、一旦入れて取り出してかまいません」と広告チラシのウラに書いた(たぶん10年はそのままの感じ)文字。ちょっと良心的?。また冷房かなと思ったら、「暖房」の文字もある、ひとまず安心。ところが暖房にスイッチ入れると「ガーーーー」とすごい音、とても我慢できず消す。つぶやく、「やはりだめか」。この部屋は押し入れがあった。テーブルがあるが折り畳みの足が1本傾いているグラグラする。このようなテーブルよくゴミ置き場で見るけど、誰も拾わないテーブルだ。座ぶとんはある。お茶も用意された。当たり前が「良く」みえる。とりあえず夫婦岩のロケハンに出る。ところがところがである。なんとあの正月のイメージの「夫婦岩のまん中に日の出の写真」は夏の間しか撮れないことが現地の案内板で判明。このシーズンは大平洋上ではなくとんでもない山の方から日が上る。山からじゃ「意味ない」ああなんということなんだろう。ちょっと落ち込む。取りあえず持ってきたカメラで夫婦岩の写真は撮る。
戻って風呂にはいる。今日は丹前が用意されているが、それにしても何年使っているのか襟の当りがボロボロ。おまけにこの民宿じゃない旅館の名前が染められている。夕食。観光客相手に伊勢海老料理などを出している店が主体のようだ。半身の伊勢海老(焼き)がでる。が、他は昨夜とはうって変わって色がなんの魚だか分からないような刺身とお決まりの固形燃料の湯豆腐鍋。ハッキリ言って貧相な食事。お銚子2本頼む。「お食事済んだら、部屋の外へ出しておいて下さい。それからお布団は押し入れにありますので御自分でひいて下さい。おやすみなさい」
と言ったきり、ばあさんは出て行った。酒もすすまない、何とか流し込んで、食膳を出そうとドアをあけたら、廊下は真っ暗。トイレなどの電気も全て消されている。静まり返っているが、まだ午後6時45分。TVは昨日の民宿よりもっと映りが悪い。見ていてつかれるので、すぐ消す。寒いのでふとんを押し入れから引っぱりだしてかぶる。わびしい。悲しくなって来た。
仕方がないので、持ってきた「伊能忠敬を歩いた」という文庫を読む。寝る。ところが窓の外は国道、寝るとなるとうるさい。いつ寝たのかは不明だがなかなか眠れず、国道が静かになったのは深夜だと思われる。
朝食は更に追い討ちかけるように最低。納豆(ねぎなし)と梅干し、のり、そしてなぜか半人前ぐらいの茹でたうどん。そのうどんは皿に盛ってありつゆがなく、しょうゆで食べるらしい。(讃岐である、ぶっかけというやつ?)ところで私は納豆にねぎがないと食べる気はしません。「ねぎのない納豆はただの腐ったマメ」。朝食は部屋ではなく店になっているらしい部屋。壁のメニューを見ると、「伊勢海老お造り8000円より」、などかなり高い。
数カ月前K田さんとK本さんとその子どもと泊まった時の民宿はある温泉のワースト2の一つだったらしいがそれとは比べ物にならない人生ワースト2をこの2日間で体験したと思う。どっちがベストかなんてどうでもいい。(怒)

鳥羽の大平洋