昨夜教えてもらった「静内町桜祭り」をぜひ見ていこうと思っていたら、桜祭りの立て看板が出てきた。看板の道案内通りに海岸線を離れて内陸に入る。チョツと入るといってもさすがに北海道である。なかなか着かない。そして桜の木らしものは見るが、咲いている気配等も全くない。しばらく走ると牧場が連続しているまっすぐな道路に出た、これが地図にある二十間通りか?二十間、約36m?そんな幅は到底ない二車線の道路だ。よく見ると道路の両側は全部桜の木だ。まだつぼみにもなっていない。
昨夜の店主は「祭りは開花に合わせてやるから、もう咲いてるはずだ」と言っていたが・・・。そんな状態で5キロもまっすぐ走った頃、だんだん花見会場らしくロープで仕切ってある場所になった。
まだ朝九時頃であるがお揃いの花祭りスタッフジャンパーを着ている一団が何やら準備している様子なので車を止めて聞いてみた。「桜咲いてるのはどの辺りですかねぇ?」すると「いやぁ、今年は遅れてましてね、まだどこも咲いてませんよ。後2週間ぐらいですかね」とすまなそうに言った。どうやら咲くのを待ちきれずに祭りを見切り発車しているようだった。二十間道路はいわゆるアスファルト部分だけでなく両側の桜並木の歩道まで入れて図っているらしい。それにしても直線で10キロぐらいの長さで桜並木が続いていた。牧場の緑と桜、咲いたら見事だろう。テレビで弘前はもう真っ盛りと言っていたのだが、残念。今年は異常らしい。
やがてあたりは、海岸線なのだが、白樺に笹の原っぱ。この光景はまるで私の生家から近い奥志賀高原とおんなじだ。クジラの歯のように櫛状の白い幹と淡い緑の葉、青い空のコントラストがきれいだ。
奥志賀は10分も走ると全く景色が変わって山の中に入ってしまうが、ここは延々と同じ景色が続く。
海抜1-2メートルと信州の1500メートル当たりと同じ風景なのだ。
走っている車は少ない、これでもゴールデンウィークなのかと思ってしまう。志賀高原のゴールデンウィークや東京近郊は渋滞で動きがとれないというのに・・・・。
襟裳岬に近くなった頃、クマザサの林から茶色い枯れた芝のような短い原っぱがつづく。もうすぐ岬の駐車場という頃道路をキタキツネが横切った。市ヶ谷の「花波」という呑み処の客同士の携帯メーリングリストがあるが、そこに書き込みがあった。「今どこ?」店のカウンターの中で妙な動きしながら酒を作ってくれるムツミちゃんだ。「今は襟裳岬、なんか女の子が廻りいっぱいだよ!ウレピー」とメールで返す。「ワタシャ江戸から来たタヌキ、君はどこからキタキツネ」なんてなメールも送ったりして襟裳を後にする。それにしても変な歌詞。「襟裳の春はなにもない春です。」というのはこれから寒い冬で、それを過ぎて普通は春が来てうれしくなるのだが、襟裳は何もいいことないよと歌っているのかなあ??よくわからん。森進一が結婚詐欺みたいな女性問題で人気ががた落ちして、吉田拓郎も同じく婦女暴行逮捕され、無実で釈放されたがスキャンダルで干されていた時期があった。それらを払拭する意味もあってイメージチェンジを図ろうと二人のコラボレーションが成り立ったと言う話だ。まさに大当たりだったわけだ。
釧路までは何の変哲もない景色。ただ北海道らしい広い原野を走る。時々海岸線が見える。どこの町だったか記録するのを忘れたが、建物のデザインが統一?されているきれいな街並のところがあった。
釧路もホテルはすぐとれた。宿の近くの飲み屋で食事をすることにしてカウンターだけの小料理屋に入った。店の構えは立派だったが中は雑然としていて、内装が陳腐で小汚い店だった。
店主に「昨日苫小牧で、入った店で五月に上がるさんまがあると聞いたけど、ホント?」というと「誰だよ、そんなこと言ったのはバカじゃねぇの」と一言(バカまでいわなくても、意気投合してたんだから・・・)お客そっちのけで、奥さんらしき人とテレビのバラエティ番組見て大笑いしているてめぇの方が大バカヤロウだよ。フンッ。
さすがに酒もすすまず、引き上げ早々と寝た。
釧路の朝は快晴だった。厚岸をすぎる当たりまでずっと内陸の道路、途中水芭蕉の群生しているところを通る。国道44号の途中で小さなレストランに入り朝定食のおにぎりを食べる。ヨーグルトが付いていた。その店に霧多布のパンフレットがあったので右に折れ霧多布湿原を目指した。パンフレットには草花が豊富に咲くとあったが残念、一ヶ月半ほど早すぎた。まだ所々に残雪があり花どころではなかった。又内陸に戻り根室を目指した。