長崎市内から、499号線で野母崎の方へ向かう、相変わらず曇天の空模様。ガソリンスタンドで給油中にバカ丁寧なスタンドの青年が来て「まどの方、おふきしてよろしいでしょうか?」「灰皿はよろしかったでしょうか?」「フロントの方チェックよろしかったでしょうか?」「今、キャンペーン中でして洗車の方、お安くなっております。」
サービス精神はわかるが、いちいち言い方が気になる。
「洗車の方」ってどっちの方なんだ。「よろしかったでしょうか?」って「何で過去形なんだ」てなこと思いながら待っていた。通勤の車か、ちょっと渋滞している。坂を下って工場地帯へ通じる道路の方へ多くの車が右折。直進する車はほとんどなく一気に道路はがらがらの状態になる。「労働者諸君、今日もガンバリたまへ」と車内で大声で叫びながらのどかな海岸線の方へ、雨に降られながら・・・・。
「やっぱり突端まで行かないとね」「そうそうトッタン屋根(ヤネ)」などつまらないことを言いながら走る。
小さな漁村と言う感じの先端の待ち野母崎町へついた。「突端はどこですかね」。どう見ても行き止まりだと言うところを行くと車がやっと通れるような細い道路がある。小学校の入り口へ入るような感じでわきの道を行くと坂道があった。一本道でどんどん坂を登る。途絶えそうな道をさらに前へ。途中道路にネコの大集団がいた。野良猫だなとおもったら餌の皿があった。帰りに同じ場所を通った時、餌がいっぱいあって近くを老人が歩いていた。車で15分はかかる急な坂道を歩いて登ってきているようで「本当に動物好きな老人なんだなあ」と感心していたが、ただのネコ好きと言う訳ではない、これは水揚げされた魚や干物の加工をしている港でネコに取られないように山の上に餌ずけして降りてこないようにしているんだなと思う。必要に迫られていると言うことだ。口減らしの姥捨て山ならぬ、「ネコ捨て山」だ。
ここが終点と思われるところまで来ると駐車場があり、小さな公園になっていて灯台があった。小雨降る中、灯台の丘から見えるさらに突端の半島まで亀田さんが歩いて行った。私は残って写真を撮ったが、広角レンズでとったため小さくてほとんど写っていない。両手を大きく挙げて張り切っていたのにごめんなさい。
半島を戻る途中、晴れ間が広がりちょっとした入り江があったので写真を撮りに砂浜へおりる。透き通おって海底が見える、穏やかにうち寄せる波もキラキラと輝いている。シャッターをきる。浜で近所の女性がなにかを燃やしていた。「きれいないいところですね」「そうですか?」と確認するように海の方を見てから「毎日見てるからどうって思わないけどね、よそから来た人にはきれいに見えるんだね」日焼けが健康的な女性・・・おばさんだった。「いやあ、きれいなところですよ」と言ってやると、またしばらく海の方を見やってにこにこしながら浜を後にし、防砂堤に隣接する家に入った。車に戻ると亀田さんが「写真撮ったんやね」「そうそうトッタン屋根」。
半島の先の先まで行ったので、予定より時間が過ぎている。半島をまわって長崎まで戻るのに2時間と見ていたのにすでに2時間が過ぎ、まだ半分以上残っていた。
そんなとき、亀田さんがたばこを吸おうとして車の灰皿を見て「あれっ灰皿ないよ」「ええっ・・・ほんとだ」運転席との間のオーディオシステムの下にある灰皿のところがポッカリ空いている。「あっあのスタンドだ」「ハハハハハハハッ」「ワハハハハハ」と大笑い。バカ丁寧なサービス精神旺盛なあの若造、灰皿返すの忘れやがッた。亀田さんが「領収書あるだろ。俺が文句言ってやるよ、そして送ってもらおう。」といって携帯から電話することに。ところがこの住所でまた大笑い。実はこの旅から帰ったら我が家はすぐ引っ越しの予定。家の中のこまごましたもののかたずけを全部カミさんに押し付けてこの旅に出たのだった。「どっちへ送ってもらうんだよ!」「ハハハハハハハッ」「ワハハハハハ」。
午後、雲仙普賢岳のあたりを走る。「深江町って、なんか聞いたことありますよねぇ」「ええ、そうだっけ」などと話しているとあの普賢岳火砕流跡をそのまま残してある「道の駅」に着く。屋根の一部を残して埋もれている家屋がいくつも残されていた。さすがにその破壊力に二人とも声が出なかった。
さらに進むと諫早湾、ぐるりとまわる途中で「ショートカットできそう」と亀田ナビ。一番海寄りの国道、またはそれより海寄りの道を走るのがルールなので産業用の道路らしい県道に入る。まんまと信号の多い渋滞ぎみの国道をショートカットできた。ゴルフでドッグレッグのコースでショートカットしたような豪快な?気分にひたり、おもわずハイタッチをして歓声を上げた。(二人ともゴルフではそんな無謀なことは出来ない・・・)しばらく走ると佐賀県。「佐賀県?」さらに走ると福岡県「福岡県?」九州はやはり複雑だ。
すっかり夕闇になった6時30分、まだ大牟田市。「熊本まで着けますかね?」