熊本のビジネスホテルは、格安でしかもツインのシングル利用。得したのかどうかはどうなんだろう。
8/14は朝から大雨、これから天草を一周するのに最悪な天候だ。朝食は今回迷ってばかりでいい店に当らない。この日は最初から諦めてジョナサンに入る。9時頃には雨が小降りになってきた。それでも降ったりやんだりだ。東京は大雨で大変なことになっているらしい。
天草市の反対側になる新和町あたりで道に迷う。地図に載っていないとんでもない山の中で右往左往していると、トラックが来て「どちらへいくんですかァ」と奥さんらしい人が助手席から声をかけてくれた。練馬ナンバーを見て迷ったのだと判断したのだろう。「牛深<ウシフカ>なんですがぁ」「じゃあこっちだから着いてきてぇ」と親切にも先導してくれた。ありがたい。しばらくくねくね走ると大きな通りに出てそのまま着いていくと、信号の先で止まってウインカーを左に出してくれた。「左だと言ってるんだよあれは」と亀田さんが言い。なるほど、クラクションをならして別れた。「なんと牛深い<ウシブカイ>人たちなんだろうか」と私が言うと「ほんとに牛深夫婦だったね」と亀田さんが返した。それからしばらく、「牛深い」の活用について議論した。車内はアカデミックな空気に満たされた。
その牛深い人たちが住む牛深市の突端には11時15分についた。そこからこんどは時計回りで天草市のある側の海岸を走る。天草の展望台のあたりでやっと今回の旅が始まって初めての晴れになった。(結局これだけだったが)
天草のあたりを走っている時に道路左側を自転車旅行をしている少年らしいのを追いこした。ばっちりサイクリストのウェアがきまっていたのでおもわず「頑張れよ少年!」と叫んだ。(窓は閉まっていたが)ところが追い抜きざまに見るとなんと老人だった。たぶん70前後だろう、矍鑠としていた。「ひぇー少年に見えたよ」「老人が少年に見えたんだ!」「・・・・・」「老人が少年に見える、なんかいいですねえ」「いつまでも少年のようにありたいね」「それは普通気持ちのことですね、見てくれも少年のような老人。いますねそういうの」「・・・・」「でも、なんですね、ババァは少女には絶対見えないですね」「見えないね!絶対見えない」「ジジィは少年に見へども、ババァは少女に見へず・・・ですね」「いいねえ!気持ちだけ少女だからババアはヘンテコなんだよ」「わははははっ」。
てなことを言っている内に天草の群島?半島をすぎ、熊本市に戻り国道3号へでた。
国道3号はほとんど工場地帯の中で海岸線ではなかった。おまけに渋滞しはじめたので海岸寄りの県道を探した。亀田ナビは数回のショートカット成功に気をよくし、今回も広域農道を探し当て誘導してくれた。細い農道を抜けると大きな通りに出た。道はガラガラだ。「ヤッターッ」とハイタッチをして思わずアクセルを踏んだ。そのときふっとバックミラーを見ると赤色灯がまわっている。パトカーから「右の道路に入りなさい。」と声がかかつた。「運転手さんちょっと降りてきて」とパトカーに私だけのせられる。40キロ制限のところで20キロオーバーで切符をきられた。若い20代前半と思われる警官が二人。「帰省ですか?」「いまねえ日本一周やってンの。海岸線をね」「いいですねえ自分も学生時代バイクでやりましたよ」「えっ日本一周したの?」「いえいえ九州一周だけですけどね」もう一人の警官が「いいなあ、僕もやろうかなあ」なんかパトカーの車内が和んだのですかさず「ゴールドカードなんだよ俺、かんべしてくれない?」「そうですね、もったいないですね。でもゴールドカードのひとだからこういうところでスピードだしてはダメなんですね」と「・・・・・あっやっぱダメ」。
それからは、ちょっと反省してゆっくり走る。水俣市を過ぎいよいよ鹿児島県に入る。この辺の国道3号は海岸通り。
阿久根市のあたりでつかの間の晴れ、夕日の写真を撮った。18時を過ぎ急にあたりが暗くなってまた土砂降りになった。何とか鹿児島まで着きたい。芋焼酎まであと少し。旅行雑誌のホテルリストから鹿児島駅近くのホテルに電話、一回で見つかった。それが何と朝食付き一泊5,000円(税込)だという。オープン2周年記念キャンペーン中と言うことだった。「どんなホテルだろうか?」ちょつと不安になりながらいくとすばらしいホテル。2周年だからまだ新しいきれいで設備も結構豪華だった。「おおあたりーっ」。早速、フロントで「芋焼酎をクロジョカで呑ませるような店ないですか」と聞く。「クロジョカ?」とフロントの若い女性。
クロジョカとは黒薩摩の焼き物で土瓶蒸しで使うような平べッたい入れ物でお湯割りを呑む時に使う。グラスで呑むお湯割りより、その土瓶の小さいやつから注いでおちょこで呑むと旨いんだなこれが。「クロジョカは知りませんが、このホテルの裏にひとつお店あります。ただやってるかどうか?」もう10時ちかい。行ってみると「本日休業」のはり紙があったが、のれんが出ていた。「やってます?」すると中から女将らしいのが
「やってないけど、いいですよ。どうぞ」・・・なんだそりゃ。お盆のさなかなので誰も来ないと思って休業にしたが、特にすることもないので暇にしていたら常連客がきたので開けたところだと言うことだった。感じのいい女将で12時近くまで付合ってくれて料理も美味しかった。ただ芋焼酎は東京でも買えるような普通のを頼んでしまったのが残念だった。