やがて日本海がオレンジ色に染まりはじめた。今夜の宿を「宿泊表」という本で探す。取りあえず糸魚川まで行こうと決め、電話。一発で空きがあった。ビジネスホテルでしかも温泉付き、新しいホテルだった。ホテルからすぐ近くで三人で食事。当然宴会になる。
8月12日朝6時半、朝食は街道の「トラッカーの立ち寄る朝定食」と決めていたので、そのままチェックアウト。
フロントの女の子が美人だとしきりに亀田さんが、目でアピール。備え付けのパンフをみながら、亀田さんが「ヒスイが海岸に落ちてるの」と無理矢理の会話。これは多くのオヤジの特技である。「もうあまりないみたいですよ。でも富山の人たちが時々採りに来るんですよ」と批難するような言い方。どうしてトヤマの人とわかるんだ。名札付けてないのに。でも、「富山の人」と限定しているところがかわいい。「そうね、すぐ県境だからね、よその県だもんね。」と、こんな時も「変だな」と心では笑っても多くのオヤジは優しさをアピールする。
親不知の海岸、素晴らしい景色だ。なかなか定食屋がなかったが、富山に入る直前にあった店に入る。老夫婦がやっている店で、まだ開店したばかり。「なににしますか?」とばあさん。「朝定食を」。すると奥からじいさんが出てきた。「昨日は岩牡蠣食べた?」。朝定食でいいのに朝から岩牡蠣?「食べました」「どうせ小さい旨くねえ牡蠣だろ・・・」「べつに、美味しかったですよ」「うちは釣り鱈だから」「ああ、焼くんですか?」「そうだよ。定食できるよ」「お願いします。」「釣り鱈だからね」と言って中へ行った。鱈は冬の魚だと思っていたが真夏の鱈は美味しいのだろうか?「釣り・・」を協調するのは捕り方の違いに何かあるのだろうか?定かではない。それにしてもたらこやめんたいこになるし、白子はあるし、鍋にもいいし、そして蒲鉾の原料にもなるし、鱈はエライ。ちなみに亀田さんは「つまみ」を探すのが上手だ。ドライブ中にコンビニやスーパーに行ってジャストなつまみを探し出してくる。そのなかに鱈を乾燥させて裂いてある「つまみたら」が当たりも美味しい。こんどはばあさんが、「うちのは釣り鱈なんだよ」。わかりました、「釣り鱈」なのね。残っていたのが少なかったのか、稀少なのか、ちいさなちいさな切り身の「釣り鱈定食」だった。鱈腹(たらふく)と言う訳にはいかなかったが味は出鱈目(デタラメ)ではなく美味しかった。
車の中で「釣り鱈だからね」が流行語になり、しばらくは何かにつけて結論をそれにした。またまた爆笑しながらの右は綺麗な蒼い日本海。
ちょっと雲行きがあやしくなってきた頃、サポーターのカヨちゃんから「いまどこ?メール」。なんと能登方面でキャンプしようとこっちに向かっていた。彼女のダンナと子供ともうひと組の家族と横浜から昨日の夜出てきたらしい。走行時間から計算して「滑川の道の駅」で落ち合うことになった。こんな時ほんとに携帯は便利だ。10時半、ほとんど誤差がなくお互い着くことが出来た。結局雨があがる気配もなく、むしろひどくなる予報を聞いてカヨちャんたちはそのまま戻るように列島を縦断して天竜川の河口あたりの太平洋側まで走った。すごい距離である。我々のお気楽ノー天気なドライブとは違う。
いよいよ能登半島である。



釣り鱈ってなんだよ


なぜかペアルック


オヤジの三種の神器、競馬新聞



サポータのカヨちゃん(右端)と合流