ホテルを朝6時半に出た。チェックイクしてから駐車場まで戻るのが面倒だったので、夜景の写真を撮らずじまいになったことを悔やんだ。朝の明石海峡大橋でも一応撮っておこうと橋のたもとに行くと結構人がいた。撮っていると、青汁のコマシャーシャルに出ている悪役専門の俳優に似たおっさんが近寄ってきた。「東京からこの車で来たんかい」夜明けから磯つりをしていた帰りらしい。となりの、本人には似合わないまるっこい赤い軽自動車の鍵を開けながら言った。「そうです、これからこの橋わたって淡路島に行きたいんですけど、この橋あがるにはどっちへ行ったらいいですかね」「ほりゃ、橋は近くに見えるけどな。えろぅ遠いでぇ、だいぶ山のぼらないかれへんわ」と笑った。「ここまっすぐ行ってな、信号三つ・・・・・」とながなが話しだしたので「ああっあの垂水ジャンクションなんですけどね・・・」と、とりあえずどっちでいいかということを言おうとしたら・・・「まあ、わての言うことちゃんと最後まで聞きなはれや」とちょっと怖い顔した。「すみません。」一通り説明聞いたが長過ぎてほとんど頭に入らなかった。最後に「とにかくな、この道行ったら看板でとるで、すぐわかるわ」・・・・・・、ありがとうございました。
明石海峡大橋の垂水ジャンクションにはやはりそうとう戻る形で坂道を上り、のぼってから一気にさっきいた橋までトンネルを下った。ちょっと場所はずれるが、あの義経が坂の上から奇襲をかける一の谷にそうとおくはない。やはり急斜面だということがわかった。ほんの数分で淡路インターに着き、一般国道へ降りた。でると海沿いの国道28号だ。高速道路はそのまま淡路島を縦断し鳴門海峡を渡るが、ここからが今回の旅の始まりだ。快晴で気持ちよく走る。だんだん道が細くなってきた。洲本から山道に入る、朝飯を食べてないので、ずっと例のごとくトラッカーの朝飯屋を探す。九州でもそうだったが、最近トラッカーのあの白地にすみ文字で「あさめし」と書いてあるようなみそ汁の香りのする割烹着のおばちゃんの店がみつからない。トラッカーたちはだいたいローソンなどののコンビニおにぎり、弁当を買って食べているのだ。なんとなくわびしいような気もするが、トラック運転手も様変わりしている。私が昔、ヒッチハイクしていた頃のトラッカーは腹巻きとタオルのはちまきが似合うイキ?な筋肉お兄さん、おっさんだったが、いまは運送会社の制服。そして荷の積み降ろしはフォークリフトなどの機械がやるので見た目の体系普通。そろそろ限界かな、コンビニおにぎりにしようかなと思いながらさきへさきへ行く。ついに鳴門海峡の手前あたりまでくる。その小さな港町に紺地に白く染め抜いた「食事」ののれんがはためいている店を見つけた。Uターンして入る。割烹着のおばちゃんがいた。客はおばさんの客が一人だけ。自分でおかずの皿を手に取るあのトラッカーの朝飯屋だ。なんか感慨深いものさえある。シラスとサバの塩焼き、ホウレンソウのおしたしをとる。キンピラに悩む。いいなあこれでなくちゃ。そこへ60歳位の大柄なタオル頭巻きのオヤジが入ってくる、他のテーブルがたくさん空いているのに全く気にもとめない様子で私のいるテーブルに座る。私が指定席に失礼していたのかな。新聞を手に取り、店に用意してある老眼鏡をとる、勝手に冷蔵庫からビールを出して飲みだした。おかずもどんどんとる。港湾で働く元漁師という感じか。店のおばちゃんと世間話を始めた、毎朝来てるんだろうな。店の中をよく見ると老眼鏡は度が違うやつがいろいろそろっているし、カロリーの表示された絵があるポスター、そしてテレビの横に血圧計。健康に気配りの定食屋だ。ちょっと病院の食堂みたいな気もするが、気になる年齢の客が多いんだろうな。ご飯が炊き方がいいのかこめがいいのか、美味しい。いつもは茶碗一杯だが、どんぶり一杯食べてしまった。食べ終わった頃におばちゃんが、厚焼き卵のほかほかと湯気が上がっている皿をカウンターに並べだした。それほど卵は好きではないが、分厚いたまごがあまりにもおいしそうなので皿をとった。元漁師?のオヤジもとった。焼きたてはやはりうまい。
料金を払うとき、「ああ、おいしかったです。なかなかこうゆう定食屋さんて今頃ないですよね」と言うとうれしそうに「ないよ、このあたりじゃ、うちだけだよ」自慢そうに言った。タオルはちまきおじさんも新聞広げながらにっこり微笑んだ。
店を出てしばらく走るとトラックが沢山停まっている「朝飯屋」が2軒もあった。あるとこにはあるんだなぁ
鳴門海峡をわたるために、また高速インターへ入る。鳴門海峡をわたってるとき橋の下に渦潮が見えた。後で激励メールをくれた看護師サポーターのトモミさんは「満潮の時間を見計らって橋の展望場所まで行ってみましたけど、渦潮を見ることができませんでした。」と書いてきていた。見れたのはラッキーなのか。だけど高速道路を走行しながらなので写真は撮れなかった。残念。