いよいよ四国徳島である。
鳴門北インターを出て一般道へ。特にどちら周りをしようか決めていなかったがなにげなく鳴門海峡を右に見ながら国道11号を目指す。お遍路さんとは逆回りになる。
すぐに香川県に入る。いよいよ今回かなり楽しみにしていたさぬきうどん三昧である。一日3回は食べられるだろうと思い、有名店をはしごするつもりでいた。しかし海沿いの国道沿いにあるのは「がもう」だけだつた。とりあえず「がもう」を一店目に決めた。国道沿いには「讃岐うどん」の看板やのれんの店がずっと数珠つなぎのように並んでいる。こんなにあってやっていけるのだろうか?しかもどこも平日の金曜日とはいえもうすぐひるめし時なのにガラガラ、それにのれんさえ出していない店もある。シーズンオフ?
「がもう」は四国ガイドブックのいい加減な地図で探すのは大変だった。国道から右へ路地を入るのだが、車がやっと通れる位の細い道、住宅の間のクランクを何回か通過してもなかなか見つからなかった。いったん国道へ戻ってしまいまた地図を見る。まさかあの細い路地をと、もう一度更に細い路地を抜けると駐車場に出た。50台から60台も住宅地の間の狭い駐車場ににとまっている。みると普通の平屋の小さな家があり、行列ができている20人は並んでいるだろうか。とりあえず並ぶ。
こんなに並んでどれほど時間がかかるのだろうと思いきや、あっという間に流れて行く、すぐに軒まで来た。私の前はワイシャツネクタイのオヤジ三人組。近くの会社から乗り合わせて会社の車で来たのだろうか。どんぶりが小・中・大とときれいに重ねてあり塔になっている。それをめいめいが手に取る、そして横に行くと店のオヤジが「あったかいの、つめたいの?」と聞く、三人オヤジはたちは全員大の丼に「まま」といって冷たいうどん玉をどんぶりに入れてもらっていた。わたしは中のどんぶりをとり「あたたかいの」といった。するとオヤジは盛り篭にうどんをいれ大きな鍋のお湯にとうした。それを持って更に進むと、テーブルに天ぷらやあげやあげだま、いわゆるトッピングがおいてある。それを自分でとった瞬間目の前にいるおばちゃんに「780円」とかいわれる。お金を払って後ろを振り返る。いわゆるUターンのかたちだ。そこには葉ネギが緑色鮮やかにたっぷりきざんであり、となりになんとも薄い色のつゆの鍋がおいてある。わたしはきつねうどんが好きなので大きなちょっと薄い色のあげを入れ、たっぷりのネギとつゆを入れた。そのまま入ってきた入り口から外に出る。出たところにはベンチがあるが埋まっていて、立ったまま食べている人が沢山いる。自分もさきほどのオヤジ三人組の近くで立ったまますすった。美味しい。これぞ讃岐うどんという薄い色の汁にシコシコの麺。横を見るとオヤジたちはたまごをいれただけのものにほんのわずかつゆをいれたところに葉ネギをたっぷりと入れている。それも美味しそうだな。次はそれを食べよう。
ところが瀬戸内海にみとれて走っているうちにあれよあれよというまに香川県が終わってしまい「三杯は食べるぞ」と意気込んだのに一杯それだけだった。
新居浜に向かう途中「この先台風の影響で通行止め」とある。迂回すると全く動かなくなってしまった。周りの地元ドライバーに聞いたがこの道しか無いらしい。みるみる車が数珠つなぎになった。2時間ほど全く動かない状態で待つ。やっと動き出したら大変なことになっていた。谷間の集落の道路脇を流れる細い川が濁流となりあふれ、川の両側の集落を押し流したりなぎ倒したりで大暴れしたらしい。台風がすぎたのは昨日の朝だから昨日からずっと片付けているらしい。片付け作業に疲労した住民があちこちにへたり込み道路工事の重機がトラックに土砂やがれきを積んでいるのを見守っている。蛇行しながらやっと車一台が通れるようにした道路は茶色一色。どこが川なのか道なのかわからないほど木の根っこや岩なども山積みになっている。